「‥は?」

「何したの? どうして綺麗に傷が治ってるの?」

「え、だからお前の薬で治ったんじゃねぇのかよ」

「アタシの薬を塗っても、ケロイドは消えないよ」

難しい顔をしているファントムに
俺は、えぇ~っと顔を歪ませた。
そのまま兄貴を見ると、コクンと頷かれた。

「うん、お前どうして痕無いんだろうね‥?」

そう言いながら、兄貴は上着をずらして肩を出した。
そこには、ケロイドがあった。

「これね、ファントムがしたものなんだ」

「え?」

そろりとファントムに目をやれば
ファントムは顔を伏せた。
‥兄貴に攻撃したこと、あったのか?

「まあ、いろいろとあってさ。その後、ファントムがお前に塗ったのと同じ薬を塗ったんだけど、痕残ってるよ」

服を元に戻しながら、兄貴はもう一度俺の腹を見た。
「本当に綺麗に無くなっている」と呟いて
兄貴は棚の上から瓶を取り出す。

「これ、打身に効く薬だよ。ファントムにちゃ~んと感謝して使う事だね」

渡された瓶を見つめながら、
俺はまた一つ疑問が増えたと、溜息を吐いた。

兄貴には痕が残っているのに
俺には痕が残っていない‥?
コレに似たこと、前にもなかったか?

頬に傷を負ったと思ってたけど
頬に傷が無かったこと。
頭の怪我が治るのも、早かったし‥

「‥ああ、有り難く使わせて頂きます!」

まさか俺にも、治癒能力がある‥
な~んて、な‥。