「はい、朝に帰還予定です。はい、‥はい、分かりました」

「何て?」

「明日、夜に任務があるって」

「俺?」

「ううん、モルダと私も。だから十分休んでおく様にって」

寝台車両に乗った俺たちは
それぞれベッドに座るなり寝転がるなりしていた。
明日も任務か‥。
爺さんと、昼飯食う時間あるかな?
エル・ディアブロのこと、訊きたいんだけど。

「じゃぁ、俺そろそろ寝るけん。お休み」

もぞもぞと布団に入り込むモルダに
俺たちも体を休める事にした。

ドルガーに蹴られた腹が、意外と痛い。
息をする度に、痛みを感じる。
明日、守り師‥ファントムだっけ?
アイツのところにも、行こうかな。
何だかんだ言ったって、結構アイツの薬効くしな。
だってこの前の傷、もう全部良くなってる。
あの光のせいで焼けてしまった腹。
絶対跡が残ると思ってたのに、綺麗に治ってるから。
ホント、俺にも治癒能力があるんじゃないかって
そう思うくらいにな。

「電気、消すね」

「ああ」

カチリと消える電気に、暗くなる車内。
ガタンゴトンと、いつもは五月蝿く聞こえる音も
疲れている時は心地よく聞こえてしまう。
その中で俺は、ゆっくりと目を閉じた。