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お城の個室を借りた俺たちは、モルダの部屋に集まった。
街の状況把握と、舞踏会の時の打ち合わせの為だ。
リビアンが入れてくれた紅茶を片手に、俺は口を開いた。
「なぁ、昨日ここ来た時には街の人はいたのか?」
「ええ、今日の舞踏会の為に沢山の人が街を装飾していたわ」
「死人は?」
「役所に確認したけど、ドルガーに襲われた5日前以降死亡届を出した人はいないって」
「そうか‥。病院は?」
「入院も、怪我が理由で入った人はいないわ」
「じゃあ、また資料はデマかよ」
「適当に書いてんじゃねぇんか?」と
モルダは資料を机の上に放った。
リビアンは資料をもう一度読み返しているようだ。
「‥確かに、おかしいわよね」
ドルガーに襲われた街で、人は生きている。
「‥なのに、大怪我している人は一人もいないわ。」
「!!」
その言葉に、俺は顔を上げた。
眉を顰めるリビアンと、目が合う。
確かにそうだ。
ドルガーはこの街の人たちを襲ったのに、
誰一人、大怪我している人はいない。
「‥何か、あるわね」
カップに口付けながら、リビアンは資料を閉じた。
俺たちの沈黙の中をお城の鐘が鳴り響く。
すくっと立ち上がったリビアンは、大きく背伸び。
「さぁ~て、これから本題よ!」

