secret WISH



考えても分からない。
俺は間が開く前に、話題を変えた。

「なぁ、その本何?」

「あ、これはな、“守り師”さんが読むんだ」


そう言うけど、腕に抱かれているのはどっからどう見ても‥

「‥絵本、読むのか?」

「そう、絵本読むんだよ」

え~、
俺のイメージでは、清楚な感じの綺麗な人で
こんな幼稚なものを読む様な
イメージは全く無いんだがな‥。

「世の中、いろんな奴がいるもんなぁ」

「? 何の話?」

何でも無いと答えようとしたら、爺さんの笑い声。
アメスは少し無理して笑っているようだけど、きっと大丈夫だ。
薬箱を片付けて、アメスはこっちに来た。

「そろそろお昼なので、先にお部屋に戻ってきますね」

そう言って足早に図書館を出ていく。
小さくなるアメスの背中を、俺は暫く見つめた。
爺さんを振り返ると、小さく頷かれた。

アメスはオニキスと暫くいるつもりだろう。
余り黙っておくと兄貴に不審に思われるし‥

「なぁ、“守り師”ってさ、どんな人なんだ?」

「ん~、そうだね」
綺麗で、神々しくて、可愛いかな。
でも子供で、我が儘で、一度暴走するとなかなか止められない。

「そう言う人だなぁ」

「‥子供?」

清楚な大人のイメージしかなかった俺は首を傾げた。
というか、

「そもそも、人間なのか?」

「お、いい事訊いたね。人間じゃないよ」

ケタケタと笑いながら、さらりと言ってみせる。
人間じゃなくて、人間に似たモンスターだと。

「モンスター、なんか」

「うん、どうみても人間にしか見えないんだけど、モンスターなんだって」

「へぇ~‥」

何だか興味が湧いてきた。
人間に見えるモンスター。
まるで‥‥


「エル・ディアブロみたいだろ?」

「っえ!? お、おぉ」

考えていた事を言われたのと同時に
アメスの事が頭を過ったせいで、ドキリと心臓が跳ねた。


「なんなら、会ってみる?」

「え?」



僕が守っている“守り師”さんに。