「‥‥爺さんッ!?」
本を数冊抱えて戻ってくると
倒れ込んでいる爺さんを、アメスが見下ろしていた。
爺さんは腕を押えて、小さく唸っている。
俺は机の上に本を投げる様に置くと
爺さんに慌てて駆け寄った。
「爺さん、おいっ!」
「セレス、騒ぐな‥、わしは平気じゃから」
アメスを見上げれば、指に見える微かな螺旋。
まさかアメス、爺さんに‥ッ!?
「セレス、その子を責めないでやってくれ」
その子は当たり前の事をしようとしただけなんじゃ。
「‥当たり前、の事?」
やっぱり、爺さん気付いてたんだな。
「それをわしがいらん事しようとして、こうなった」
「でも、怪我してんじゃねぇか‥ッ」
「大丈夫、掠り傷じゃよ」
ぐっと腕に力が込められ、爺さんは起き上がった。
立ったまま動かないアメスの頭を、爺さんは優しく撫でた。
大丈夫、大丈夫と。
俺は爺さんの座る机の下から救急箱を取り出すと
アメスに押しつける様に手渡した。
何があったかはよく分からねぇけど‥、
アメスはこれ以上爺さんに危害を加える気はなさそうだし。
爺さんがアメスを警戒する様子も無いし。
「‥すみません」
アメスは一言謝ると、ペタンと爺さんの隣に座った。
そうして傷の手当てをし出す。

