ピチピチと鳥の囀りに、目が覚めた。
まだハッキリとしない意識の中、ぼんやりと天井を眺める。
肩に愛おしい重みを感じて、俺は何だか可笑しくなって笑った。
昨日までと、今日。

アメスに対しての見え方が、全然違う。

ベッドの上にいるのに、背中を壁に預けて座って寝ていた。

俺とアメスには布団が掛けられている。
机の上で丸くなって寝ているオニキスが、掛けてくれたかな。

「‥ん、」

パチリと開けられた目は、軽く腫れているようだ。
よしよしと頭を撫でると、アメスは俺を凝視した。

「あ‥、お、お早う御座います‥ッ」

驚いた表情をして、アメスは布団を自分に手繰り寄せる。
あはは、赤くなっちゃって。
「おはよ」と返して俺はカーテンを開ける。

昨日の雨が嘘の様に、空が晴れ渡っていた。
窓から差し込む光に、オニキスも起きたようだ。


洗面台に向かおうとすると、
パタパタとその翼を羽ばたかせて着いてくる。
はい、と新しいハンカチを渡してやって。
俺は鏡に向き合った。

「‥あ、あれ?」

ペタペタと頬を触ったり、角度を変えて頬を見るが‥
確かに昨日、頬切ったよな?
なのに

「傷が、無ぇ‥」

不思議に思っていると、頭に鈍い痛みが走った。
オニキスが俺に噛み付いたせいだ。

「てっめぇーッ!!」

洗面器を指さしているということは、
早く水を入れろという事なんだろう。
でも、だからって、

「噛むことねぇだろうがー‥ッ」

今日という今日は退治してやるーッ!!
ばしゃばしゃと水が跳ねる中、
棚の上の通信機の音がした。

洗面台から戻ると、ベッドが綺麗にメイキングされている。
アメスは机の前に座って、
「鳴ってましたよ」と通信機を指差した。
通信機の画面を確認すれば、どうやら爺さんみたいだ。

「どうした?爺さん」

『セレス、お前今日は非番じゃろ?』

「あ?そういえば‥そうだっけかな」

『本の整理をしたいんじゃがな、ちと手伝ってくれんか?』

そう言われて、アメスを振り返ると
アメスは俺に訊いた。

「私も行っていいですか?」