だが、瞳に映ったのはアメスだけではなかった。
アメスの隣、ホワイトスモークの髪の色をした男がいる。
多少、天パがかった髪に、アメスより背が高い。
俺と同じくらいか?
オニキスはいつの間にかポケットから出て
ぐいぐいと俺をアメスの方に引っ張る。
オニキスと周りの通行人を気にしながらも
アメスを見たその時だった。
「‥ッ!?」
アメスから離れると、影の中に消えていくソイツ。
アメスはそいつの消えていった方を、ただ見つめている。
‥ぃ、今‥何した?
キス‥しませんでした?
思考回路が停止して、瞬き一つも出来ない。
‥もしかしてアメス、アイツの事好きなのか?
嫌な事にも、真っ先に浮かんだ事は
こんな考えだった。
そう思うと、自分がこの先
どうなるか分かった様な気がした。
最初から、決まってた?
俺の運命は。
たった1ヶ月、寿命が延びた事に過ぎなかった?
アメスの方へ行こうとするオニキスを止める
‥アメスが、俺に気付いてしまう前に
オニキスを少し乱暴にポケットに突っ込んで
俺は部屋へと足を進めた。

