夜中になっても起きないアメスは、もちろんベッドを占領したまま。
俺は仕方が無く、ベッドの隣に適当に布団を敷いた。
オニキスも机の上でハンドタオルを被って寝ている。
アメス、疲れてんのか?
いつ頃から寝ているかは分からないが、
さっきあれだけ騒いで起きなかったなんて‥
寝っ転がりもせず、布団の上に座る。
思い出すな、思い出すな。
いつもいつもそう思うのに、
人間とは思い出したくないモノ程、思い出すもので。
あの日から、脳裏に焼き付いて離れない。
部屋の電気を消して、真っ暗になる度に思い出す。
あの、教会の死体の山を‥―――。
「‥ッ」
ゆらりと立ち上がり、洗面台へ向かった。
勢い良く水道を捻ると、屈み込む。
ヤバい。
そう思った時
腹の中に入っていたものが流れていくのが見えて
慣れない胃液が通った舌は、乾いた様な感覚。
ゲホゲホと咳を繰り返し、空っぽになった腹をさする。
ずっと、ずっとこうだ。
アメスに出会った日から。
あの死体の山を見た日から‥。
あの時、嫌な事に思ってしまったんだ。
こいつら、人間なのか?
こんなモノが、人間なのか?
こんな、汚いモノが?
「‥オニ、キス?」
背中に小さな質量を感じて、鏡を覗いた。
オニキスは小さな体で、背中を行ったり来たりしている。
さすってくれているのだろうか。
「あ~ぁ、見つかっちまったな」

