ドルガーたちと戦っている時に感じた違和感。
あれは、俺が一瞬見た誰かの視線だったのか。
しっかりと、報告を終わらせてから
悶々と考えながら、進む治安署の廊下。
人とすれ違い真際に
ぶつかりそうになりながら歩いていると
隣を歩いていた兄貴がコツリと俺の頭を叩いた。
「じゃあ、僕はコッチだから」
「え、屋上行くんか?」
「ああ、屋上に“守り師”の部屋が出来たからね」
コツコツと階段を上がっていく兄貴の背中を見送りながら
また今から護衛か‥、大変だな。
そう思い、自分の部屋を目指してまた歩いた。
そう、おかしかったんだ。
今日戦ったドルガーも。
出てくるだけきて、その後は‥‥
「何も、しねぇよな」
戦う気あるのかって、言いたくなるくらい
何もしてこない。
今まで闘ってきた奴等は、出てくるなり
行き成り飛びかかってくるわ、襲ってくるわ。
なのに最近のは、何だ?
出てきてもふらふらしているだけ。
自分から倒して下さいって言っているようなもんだ。
おかしい。
そう思いながら部屋の鍵を開ける。
パタンと扉を閉めると、オニキスが飛び付いてきた。
「な、何だよッ」
ぐいぐいと服を噛むオニキスが指差すのは
ベッドの上だった。
とりあえず部屋の電気を付けて、明らかになるソレ。
「‥え、帰るんじゃなかったか?」

