それは、好きだから。
好きだから余計に相手の事考えてしまって
余計に何も出来なくなる。
‥俺、本気でアメスの事好きなんだな。
どこか他人事のように思うけど
それは紛れもなく自分の感情。
初めて出会った時から、警報が鳴り止まない。
止めた方がいい。
何処かでそう言う自分がいる。
自分の命の為に落とした方がいい。
何処かでそう囁く自分がいる。
命よりも、相手の事を考えろ。
何処かでそう叫ぶ自分までいる。
「‥セレスさん?」
気付けばアメスが後ろにいた。
ハッと意識を戻すと、鏡越しに合う視線。
こんな優しそうな顔をする子が‥‥
ずっとずっと。
アメスが隣にいる度にそう思う。
「どうしたんですか?」
そう言う声も、首を傾げる仕草も
すべて偽りなんだろうか。
そうやって、“いい子”を演じて
いつ俺を殺そうか、と隙を見ているのだろうか。
ずっとずっと。
アメスが隣にいる度にそう考えてしまう。
「‥いや、何でもない」
嫌だな、こういう俺。
人ってこういう生き物だ。
疑ったら、それを疑って止まない。
‥汚い、生き物だ。

