何だろうな、チャロに手ぇ出されて頭にキてるせいか。
感覚が、おかしい。
お面があって良かったぜ。
俺、今笑ってるんだから。
「ぐわあぁぁ‥!!」
おっさんには顔面にキックをプレゼント。
殴っても良かったんだけど、なんか汚いイメージだから止めた。
それに俺は、殴るより蹴った方が強い刺激を与えられるし。
震えで動けないチャロの腕を引っ張って、その体を包み込んだ。
久しぶりの感覚に、何より安心出来るこの香り。
「この、邪魔しおって‥!!」
椅子を手に俺たちに襲いかかってくるそいつは、暴れまくる。
パリンと窓ガラスが割れれば、机に凹みが出来る。
コイツ、確実に俺たちを出口の方には出さねぇ様にしてんな。
‥しゃあねぇ、オニキスがなんとかしてくれるだろ。
俺はアメスを担ぐと、窓の縁に足を掛けた。
ここは2階だから‥、まぁ、飛び降りれるか。
「‥ぇッ」
「よっと」
「待てお前!!」
ぴょんと飛び下りると同時に、真っ暗になる視界。
ほら、やっぱりオニキスがなんとかしてくれた。
叫ぶ“あの人”の声は聞こえないし。
飛びとりる時に投げなれた椅子もない。
お姫様、奪還成功だな。

