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「オニキスー、いるか?」
部屋に一度戻って声を掛けてみれるが、反応が無い。
机の上に置き手紙はなく、チャロ石だけがポツンと寂しくあるだけ。
‥これ、チャロの心臓なんだよな。
俺はそれにキスを一つ落とすと、部屋を出た。
てか、オニキスどこに行ったんだよ!!
まさか、消された‥!?
「あー、確かにいなかったらそう思うよね」
「‥良かった、兄貴のとこで」
オニキスの正体が兄貴とファントムにバレていた事を思い出して適当に行ってみりゃ、
オニキスは兄貴のところでぬくぬくと寝ていた。
はぁ‥とため息交じりに息を吐く。
‥兄貴、眼帯してる。
あんだけ出血してたもんな、目の状態‥良くはないだろうな。
「そういや、ここに来る前に屋上寄ったんだけど‥入れねぇでさ。ファントムは?」
「‥お前、怪我大丈夫なの?」
‥あ、あれ?
今、何か流された?
「ああ、前の怪我みたいに綺麗に治った」
「昨日まで生死を彷徨っていた人がこんなにピンピンしてるなんてね‥何か怖っ」
「酷っ。‥あのさ、目‥どうなんだ?」
眼帯掛けているせいか、本を読んだりするときだけ掛ける眼鏡を掛けている。
兄貴の顔色も‥、そこまでいい様には見えないし。
「‥失明してるよ」
「え!?」
「眼球を直接やられてね。‥どうしようもないから、眼球取り除く手術したよ」
やっぱり、それ程酷かったんだ。
なんか訊いちゃいけない事訊いてしまったな‥。
「‥だから、ファントムの護衛、降ろされた」
「ぇ‥」
まるで他人事の様に兄貴はそういうけど。
自分に対してだろうか。
目には怒りや悔しさの色が見えた。
その時、オニキスが俺の胸に飛び込んできた。
どんどんと小さな手で俺を叩く。
どうしたんだよ、と声を掛ける前に前にも似た様な事があった気がして。
「‥チャロ?」
そう呟くと、オニキスが大きく頷いた。
早く早くと俺を急かすその姿に、俺は何か嫌な予感がした。

