おなか、傷‥?
‥あ、そうだ‥俺刺されたんだ。

『セレ、ス‥』

思い出したら、チャロの泣き顔が‥。
あいつ、結構気にするタイプだよな。
ずっと思い詰めてんじゃねぇか?


「経った3日で歩くまで回復? 凄いわね」

「いや、これは多分‥、チャロが」

チャロが俺に何かした‥?
前にもこういう似た様な事があった。
傷がいつの間にか綺麗さっぱり無くなっていた事。
今回もその中の一つ。

さっき見た過去の記憶の中で、見つけたんだ。

湖に飛び込む前は手には沢山の擦り傷があったのに
記憶が無くなった後に手には傷が無かった。
あれはチャロが俺に‥‥

キス、したから?

「って、えー!んなこたねぇよ!!」

「‥急に何? とりあえず、一般病棟に移りましょうか」

「や、必要ねぇよ。今日から復帰する!」

「はぁ? そんなおなかの傷が‥‥」

俺は服を捲って腹を見せた。
ほら、綺麗さっぱり何の痕もない。
そしておばちゃん、この世に無い信じられないものを見た様な顔パート2。

「つーことで、退院手続き宜しくっ!」

俺はパッと手を上げて、その場から逃げる様に駆け出した。
アルコールってか、消毒液の臭い、あまり好きじゃないんだよな。
階段を2段飛ばしで駆け上がるけど、腹は何ともない。
本当に綺麗さっぱり治ってる。