パチリと目を開けると、コンクリートの天井。
キツいアルコールの匂いの中に、微かだけど
カモミールの香りが混ざっている。
チャロ‥いたのか?
ガバリと起きて見渡して見れば、ここはどうも集中治療室だ。

‥なんで俺、こんなとこにいんだ?

袖を捲ったり伸ばしたりして体を見るが、
これといって酷い傷は無かった。
ピッピッと心電図が一定の間隔で鳴る。
腕を見て仰げば、点滴。

「‥抜いていいよな?」

別に何の病気にもかかってない。
健康体だし、うん。

一人で頷いて、びりっとテープを剥がす。
そして針を抜くと、俺はベッドから降りた。



「セレス、何してるの!?」

「おぉ、おばちゃん」

看護師のおばちゃんがズカズカと歩いて来て、俺の行き場を失くした。
そ、そんなに怖い顔しなくてもいいだろうよ‥。
手には俺の名前が入ったカルテを持っている。

「俺、どのくらい寝てました?」

「3日」

「3日もっ!?」

「そんなことより、貴方まだ動ける体じゃないでしょ!!早くベッドに戻りなさい!」

「え? 俺全然動けますよ?」

ほら、とくるりと回ってみせると、おばちゃんは目を見開いた。
まるでこの世に無い信じられないものを見た様な顔。
酷いぞ~。

「セレス、おなかの傷は?」

「おなか?」