「‥‥何だコリャ」



目の前には、毛玉の塊。
部屋に入って直ぐのところに落ちている。
だが、ただの毛玉ではない。
呼吸するように動いているソレは‥

あ、動いた。起きたぞ。

俺はそこにしゃがみ込んで
興味深くソレを見つめた。


おぉ、見たことあるわ。こーゆーの。
いっつも戦っているじゃねぇか。


身体の螺旋がソーダの気泡の様に
上に上がっては消える。
でも、そいつの体は消えはしない。


てか、何。
何で俺の部屋にいるんですか。
サイズがいつもより、かなり小さくありません?
いつもは俺たち人間と同じくらいのサイズっしょ?
てか、人間みたいな姿してんじゃん。

なのにコイツは何ッ!

マグカップに入るくらいの大きさしかねぇ!!
しかも頭でっかちのうえに、頭に角っぽいのが‥
しかもしかも、背中に悪魔みたいな羽根が付いてる。
‥頭でっかちで、その体で‥飛べるんか?
いや、問題はソコじゃないけどッ!


‥ぺ、ペット用か?


い、いやいやいやいやッ
ドルガーをペットにする様な奴いねぇって!
喰われる喰われる‥ッ!!


ぐるぐると思考を巡らせながら
更にそのドルガーを見詰めた。


や、ホントに何コイツ。
くわぁー、首傾げた。
てか何、超円らな瞳で見つめて来るんだけど。

‥飼って下さいっての?

でも俺、クラーヂマンだからなぁ。
どちらかというと、狩る方だ。
今のところ何の害も与えてこねぇし。
さっさと退治しとくか。

俺はイヤリングに手を伸ばした。
すると、行き成りそいつが飛びかかってくる。


「っだ、いててててててててて‥ッ!!」


イヤリングに伸ばした手に、ガブリと噛み付かれ
ぶんぶんとその手を振り回しても、なかなか離れない。


誰だ!?
一瞬でも可愛いと思ったのは―――ッ!!






「止めて、オニキス」