そうだよな。
親の事悪く言われたら、俺だって口出すかも。
『おかあさん、しあわせっていってた』
『‥‥』
『だから、わるくいったら、おじいちゃんきらいになるよ!』
強気な発言をしながら、俺の服の裾握って。
俺の影にちゃっかり隠れてるし。
ははっ、可愛いヤツ。
『‥そうか、ルベがそう言っていたんか』
お爺さんは悲しい目をしながらも、口に弧をかいた。
コンコン、とドアがノックされる音。
お爺さんはドアを開けた。
『町が、襲われています!』
『何!?』
お爺さんはそれを訊くと、素早く机のところに来て何かを持った。
『何に襲われているんじゃ!?』
『お、おそらく、エル・ディアブロかと‥』
‥エル・ディアブロ?
チャロを覗くと、チャロは不安そうな顔色をしていた。
此処から出るんじゃないぞ、と
お爺さんは慌ただしく部屋を出ていく。
『‥あの、女か?』
ボソリと呟くと、俺の服を握るその手に力が籠った。
ギリッと歯軋りの音がして、チャロをちゃんと振り返ろうとした時
チャロが立ち上がった。
『チャロ‥ッ!!』
背伸びしてドアを開くと、俺の手がチャロを掴む寸前で
その体はドアから飛び出した。
『チャロ、待て!』
『わたしがたおす!!』
『倒すって‥、あの女じゃないかもしれねぇし‥!』
『それでもたおす!!』
『何言ってんだ、無理だ!戻れ!!』
俺の言った事を全く聞かず、チャロは無我夢中で走る。
この、足が速い奴めッ!
治安署の玄関辺りに来た時、俺はようやくその手を掴んだ。
『お前が戦えるわけねぇだろ!!』
『たたかえるよ!わたし、じゅつのつかいかたおとうさんからならったもん!!』
‥術、って
あの時見た、黒いぐるぐるのやつ?
『でもダメだ!!』
『いやだ!!』
チャロは俺の手を振り払うと、また走り出した。
開いていた扉を潜って外に飛び出す。
もしあの女なら、俺だってやり返したい。
けど‥、俺たちはまだ、戦う力なんて‥‥
『‥くそっ』
ポケットにあるイヤリングを握りしめて
俺はチャロを追う為に外へ飛び出した。

