俺たちが動く度に、ガラリと瓦礫が鳴る。
チャロを先に隙間を潜らせて、次に俺が潜った。
そして俺が先に降りて、チャロを見上げた。
次に踏みたい所に足が届かないらしく、眉をハの字にしている。
‥あぁ、仕方が無い。

『チャロ、おいで』

両手を上に差し出すと、チャロはちょっと躊躇い気味だった。
まぁ要するに、そこから飛び降りろってこと。

『その高さから飛び降りるの、怖いか?』

『そ、そうじゃないけど‥』

『大丈夫、ちゃんと受け止めるから』

早く、と腕を大きく広げるとチャロはそこから飛び降りた。
ふわりと広がるドレスが、その長い髪が
天使を連想させて‥服とかボロボロなのにキレイだなって。
昨日抱っこした時も思ったけど、軽い。
軽い体を下ろして、俺たちは少し城から離れることにした。
だんだんと城から離れながら歩いていると
人がまだ城から逃げているのが分かった。
俺たちが出てきたところは瓦礫で埋まっていたから
違うところから避難してんだな。

わあわあと聞こえる声に、チャロは俺の服を握った。
逃げろッ!逃げろッ!!化け物がいる!!
狂ったように、大人はそう口々に叫び
何かを求める様に走っては、また叫ぶ。

俺たちはその中心で城を見上げた。

その時だった。
一番恐れていたことが、目の前で起きたんだ‥―――。