止血作業をしながら、ファントムの手も下ろさせた。
ファントムはオニキスを見つめ、暫くすると目を伏せた。
「この子のお陰で、助かったんだね」と呟く。
「兄貴、この目どうしたんだ!?」
「‥ちょっと、油断しちゃってさ」
無理して笑う兄貴は、顔色が酷い。
俺はタオルを4、5枚出して、
ファントムに手渡した。
屋上の部屋に薬を取りに行くのは、危険だ。
だからといってこのままに出来ないし‥‥
そう思っていると、ファントムはオニキスに言った。
「屋上の部屋に、行かせて?」
そう言うと同時に、消えたファントムの姿。
オニキスを振り返ると、二カッと笑われた。
そして直ぐにその姿は戻ってくる。
瓶を片手にしたファントムは、直ぐに治療に掛かった。
「なぁ、さっき『アメス』って‥」
「ああ、さっき、見たんだ‥。エル・ディアブロが、5人いて、な‥その5人の中に、アメスが‥いた」
「‥!!」
「でも、何か‥違う」
「会った時とは、違う目をしてたの」
「え‥?」
「人形みたいな、作られた目」
どういう事だと俯くと、チャロ石が光った。
オニキスがそれに反応して、
何故か慌てた様子でタオルを被せた。
そして、何かに反応する。
「‥オニキス?」
ぴょんっと窓の縁に飛び乗ると
窓を叩く姿に、俺は何故が不安な気持ちを抱えた。
見下ろす先には、治安署の東の入り口。
東の入り口は、森の中を通って来なければ来れない。
「‥アメス‥‥」
銀色の髪に、空を眺める瞳。
‥何だ? 何か、違う。
違和感を覚えた俺は、武器を手にして部屋を飛び出した。
兄貴が俺を呼びとめる声がしたけど
構ってなんていられなかった。
何か、何か変だ!
何かおかしい!!
だってアメスは
黒い瞳なんてしていない‥ッ!!

