入学式が始るまで、



僕と陽介は友達作りに精を出していた。



見たこと無い顔ぶれだけど、緊張してるのはみんな一緒。



クラスの元気のよさそうな男たちに一声かける勇気さえあれば



仲良くなるのに時間はかからなかった。



みんな話ができて安心したようすで、



僕らの周りには小さなグループが出来上がっていた。



そして始った入学式。



僕らは列に戻り、



僕は入学式に心を集中したんだ。



初め良ければ全て良し。



昔から少し古臭い考えかたなのか



妙に説得されてしまう言葉に僕は弱い。



本が好きなせいかな。



そして静かな入学式は進んでいった。



目をつむって、決して寝ているわけでは無いんだけど



静かな体育館に



心を落ち着かせながら。



そしてその時、そんな僕を見ている人がいるなんて視線も感じずに。