僕は少し怒ったフリをしたけど



あっという間に僕ら三人は馴染んでいった。



“そういえば楓は彼女いないの?”陽介が聞いてきた。



“いないよ。”僕は答えた。



たしかに中学の時何度か告白されて付き合ったことは



あったけど、ドラマで見るような刺激的な



ものでも無く、いつのまにか



僕らの関係は終わっていた。



“んじゃこの高校で気になる子見つけた?”伊東さん楽しそうに



話しかけてきた。



このカップルはホント息があってるのか似たもの同士なのか



同じようなタイミングで同じ質問を繰り返していた。



そんな二人が微笑ましくて



笑っちゃったんだ。



気になる子・・・・・・



その時僕は自然と女子グループでお弁当を食べている



宮川奏をみつめていた。



ただ入学式の放課後の教室の情景が



“おぉーい楓さん、カエさん?”


陽介がおかしそうに、いやバカにしたように


僕をあだ名で呼んでいた。