白衣の悪魔に首ったけ

ってか、先生がこの香り嫌いなのはわかったけど…



………



「なん…で…?」



「あ?」



「なんであたしに“洗ってこい”だなんて…」



うん。



なんでいきなり、そんなこと言い出したんだろ…?



あたしは白衣で口元を隠したまま首を傾げた。



すると、腰を曲げ、ズイッとあたしへと顔を近づけてきた先生は、



「嫌…なのか?」



「へ?」



「洗いたくねぇんなら別にいいんだけど…」



あたしの抱きしめていた白衣を引っ張ってきて…



「洗うっ!!ってか、洗わせてっ!!あたしアイロン掛け、めちゃめちゃ得意っ!!掛けさせてっ!!」



「あっ…」



あたしは引っ張る先生から無理やり白衣を奪い返すと、



誰にも渡さないとばかりに更にギュッと抱きしめた。



これは誰にも渡さない。



ちゃんと洗濯して、



ちゃんとアイロン掛けるまで、



先生にだって返さないもんっ!!



でも…



“めちゃめちゃ得意”とか…



勢いで言っちゃったけど…



あたし…



アイロンなんて家庭科の授業以外で掛けたことなんてないんだよ…ね…



………



皺が残ってたら“デコピン”だなんて…



あたし…



間違いなくデコピンされちゃうよ…



うぅ…



先生のデコピン、ホント痛かったし…



どーしよ…