白衣の悪魔に首ったけ

「先生…」



「…んだよ…」



「先…生…」



「………」



不機嫌そうなんだけど、



どことなく優しい瞳。



そんな先生の瞳を見つめているうちに、なんだか泣きそうになってきたあたしは、



「先…生…」



「……」



逃げるようにスッと俯いた。



でも、



涙と一緒で、



溢れる思いはとまらなくて…



ってか、とめる方法なんか分かんなくて…



「好き…なの…」



あたしの瞳からは、思いと一緒に自然と涙が溢れ出してきて…



「先っ…好…な…の…」



あたしの口からは、とめどなく思いが溢れ出してきて…



「す…っ……き…」



あたしは声にならない声で小さく呟きながらギュッとタオルケットを握りしめた。



瞬間、



「……わかった…」



突然、あたしから離れ、



立ち上った先生は、



「もういい。わかった…」



あたしの頭をポンポンと叩いてきた。



えっ…



“もういい。”…って…



“わかった…”…って…



それ…



どういう…こと…?



そして、今にも涙が零れ落ちそうな瞳を大きく見開く、あたしの握るタオルケットの端を掴み、



スッと口元に持っていくと、



「お前も知ってると思うんだけどさ…俺、この香り気に入ってんだよな…」



「へ?」



キョトンとするあたしを見下ろしながらフッと小さく笑みを浮かべた。