白衣の悪魔に首ったけ

「あぁ~思い出しただけでマジイラつく…。あのヤロー…アイロンかけたばっかのヤツを勝手に持って帰りやがって…。しかも…クソっ!!くっだらねぇことに使いやがって…」



勝手に持って帰りやがって…?



くだらねぇことに使いやがっ…て…?



「まぁ、素直に土下座したし…しょうがねぇから許してやったけど…うん。やっぱ足りねぇな。まだまだシバき足りねぇ…」



土下…座…?




やっぱ…足りねぇ…?



まだまだ…シバき…足り…ねぇ…?



………



何を思い出してんのか知んないけど…



先生…



スゴく怖い…



あたしは物凄い形相でブツブツ呟く先生を見つめながら口元をヒくつかせると、



えっ…と…



この先生のグチから推測するに、



あの女の人の彼氏が先生のお友達…



いや、先生の白衣を勝手に持って帰った“変態ヤロー”で…



“俺に女なんかいるわけねぇだろうがっ!!”ってことは、



今の先生は…



“フリー”ってこと…



なんだよ…ね?



チッと舌打ちする先生を見つめながら、あたしなりに頭の中で整理した。



でも…



「ねぇ…先生…?」



「あ?」



「あの人…先生の彼女じゃないん…だよ…ね…?」



「はぁ?」



先生の口から、確かなコトバが聞きたくて…



“違う”って言ってくれなきゃ、なんだか安心出来なくて…



あたしは眉間に皺を寄せる先生をチラチラと見ながらボソッと訊ねかけた。