いつものあたしなら、このぐらいのこと気にならなかった…かもしれない。



でも…



こんな些細なことでさえ、今のあたしにとってはかなりキツくて…



瞳からは止まったはずの涙がポロポロと溢れ出してきて…



ヤダ…



この香り…



ヤダ…



こんな香りのする白衣…



あたし…



知らない…



ヤダ…



ヤダヤダヤダ…



こんな白衣…



キライ…



大っキライ…



あたしは先生の胸に顔を埋めたままブンブンと顔を振ると、



ヤダ…



白衣をグイグイと引っ張った。



「はぁ…」



すると、そんな駄々っ子のようなあたしの行為に呆れたのか、



大きなため息をついた先生は、



「遠藤に聞いた。お前…俺に訊きたいことあんだろ?」



「えっ…」



突然、あたしの頭上で小さく呟いた。