だが、活宮は仕事のペースは遅かったものの与えられた仕事を期限までには必ず仕上げていた。

それどころか、他の人の仕事も自ら残業し減らしていたのだ。

だが、それを知ってるのは極一部の人だけに過ぎなかった。

そして、里見らはその事を知ってはいなかった。

青木は正義感が強いほうだったのだが、大人の世界には正義感という事葉は存在しないのだ。

正義など関係なく、強いものだけが生き残れる。

それが例えどんなに悪い者だったとしても……。


「活宮さん、ちょっといい?」

「はい。」


そして河村たちは活宮を予め作っておいた白旗の棒に括り付け平地に立たせた。

活宮は何も言わずに立った。

河村たちは活宮を立たせると、その場を立ち去った。

青木は少し歩いたところで立ち止り振り返った。


「ごめんなさい。」


と呟いて、振り切るように走り去った。

活宮はその言葉を聞き取ったのか、少しだけ微笑んだ。






その直後に活宮は、敵の飛行機に乱れ打ちにされた。