「おいこら、無視すんじゃねぇよ?」


二回目。

はっきり聞こえた男の声。


とたん大きな強い風が吹き抜けた。


「っッ。」


あまりの大風に私は怯んだ。


ドォォーンッ。


急に背中に何かをうちつけられたような強い衝撃に痛さで顔を歪める。


もう訳分かんない。
半分ムカついているとあったかいものが私の頬にふれた。


「こんばんわ。」


またあの声。


「どうしたの?こんなおそくに。」


誰?
この人?


「名前を教えて?」

目の前には鬼の顔をした人。


醜い顔に角。


私は悟った。


あぁ、私は捕まった。


鬼山の鬼に……。