一夜の物語

「殺してっ!殺してぇっ。」


「葉月……。死に急ぐな。」


夜鬼はそっと私に口付けた。

二回目のキスは優しくて、凄く心が満たされた。


「夜鬼。」


「何もお前が死ぬことはない。人間は何故すぐに死にいそぐ?」

唇を離すと夜鬼は苦しそうな顔をしていた。


「分からない感情だ。何故、そんなに自分を責める?」


「それが人間だから……。」

「人間か……。全く面白い生き物だ。」