それにしても、彼は目立つ。

背の高さもあるかもしれないけれど、廣岡さんが絶賛しなくても顔が良いということくらい私にだって分かる。
先程から他のお客様が、特に女性のお客様が遠目に彼をちらちらと見ているような視線を感じる。


「……」


いまいち彼がどう出てくるか分からなくて身構えてしまった私は、うっすら冷や汗でもかき始めていた。


「Uh...
 I'm looking for a birthday present
 for my friends, today.
 (友達の誕生日プレゼントを探してるんだけど)」


無理難題は目の前にいるお客様以外のお客様への対応なんだけど……とも言っていられないのが接客業である。

幸い文具も多数扱っているので、本は難し過ぎるから正直助かる。人様に本を贈るのは、服を贈るくらい好みが別れてしまう。


「Well...What about this one?
 (こちらの商品はいかがでしょうか?)」


日本製のボールペンを彼に見せると、案の定、どこの製品か聞かれた。
日本製の文房具はどこか大人向けではあるものの、贈り物に進めるなら壊れにくい自国のものを進めなくては。

商品にご近所の国の"Made in 〇〇"というラベルが多いのは、少々面白い……というより、興醒めするようなことを耳にしたことがある。

そういうところを気にしてしまう私は、神経質だろうか。