自慢じゃないが、おれは妹の未有にとても弱い。
おしゃまで多少わがままだけど、歳の離れた妹ということでとにかくかわいい!!

容姿もくりくりの目にふにふにほっぺ。
口唇だってぷるっぷる。 ふわふわのツインテールもよく似合っている。

そんなかわいい未有の姿を見ていると、つい抱きしめたくなってくる。

――って!
これじゃあ、おれショタ!?

い、いやいや!!
妹愛だ!妹愛!!

そんな訳だから、未有をだしに使われると断りたくても断れないことが多い。

「流架ちゃん、しばらくおうちのこと、お願いね?」

極上の乙女スマイル・・・。

「はい・・・」

くっそー!!

結局、母さんにも弱いおれは、ただただ頷くしかなかった。


「そうそう、それでね」

おれが泣く泣く承諾した後は目に見えてご機嫌な母さん。

ったく……
これから息子と娘を2人家に残すっつーのに、なぜにそんなに浮かれていられんだか。

「未有ちゃんの担任の先生ね、とっても素敵なのよ」

は?
突然なにを言ってンだこの人は。
なぜいきなり未有の担任の話になってんだよ。

「凛先生って言ってね、とーっても男前なの!ね、未有ちゃん」

「うんっ
りん先生とってもやさしくて、とーってもかっこいいのー」

へ?
未有の担任って男なの?
知らなかった。

……てか、それ父さんの前で言っちゃっていーの?

「……」

案の定父さんはすねた顔でコーヒーを飲んでいる。

「母さん、母さん。 父さんすねてるけど……」

「え!?
やだ!!ごめんねっ香流パパ!
もちろんパパを1番愛してるわ!」

慌てて母さんは両手を広げて弁解する。

「本当?」

「当たり前じゃない!!
香流パパの他に素敵な人なんているわけないもの!」

「有沙ママ……」

そして2人は手を繋ぎ合い、しばらくうっとりした顔で見つめ合っていた。

ったく、いつまでたってもラブラブバカップル……。

「おっといけねっ、こんなことしてる場合じゃない、遅刻する!
じゃあな、未有!!」

「うんっ、いってらっしゃーい!」

バカップルな両親は放ったままおれは玄関を飛び出した。