おれの頭の中にある人物が浮かび上がった。



そう思ったとき、おれは考えるより先に体が動き、
そばに置いてあったケータイを手に取った。




そして、メモリーからそいつの番号を呼び出し、発信ボタンを押した。




トゥルルルル・・・




呼び出し音がもどかしさを煽る。



早く・・・

早く出てくれ―――!





「・・・しもし?」



出た!!




「もしもし、おれだけど!!
頼む、すぐにうちに来てくれっっ」




電話口に向かっておれは叫び、一方的に電話を切った。




「・・・れ?」




ケータイを閉じてからおれは考え直した。



おれ・・・
今誰に電話した?!



急いでたとはいえ・・・



気が動転してたとはいえ・・・



なんでだ?!


だって、そいつは・・・



おれが電話した相手は・・・。




おれは閉じたケータイを握りしめた。