次の日ー―・・・。
おれは何とかしてヤツの化けの皮をはがそうと意気込んで保育園に向かった。

「おはようございます、流架くん」

ヤツはいつものように笑顔で挨拶をしてくる。
今までだったらその笑顔で嬉しくなるところだけど、もう騙されねぇ!
そうやって笑ってられんのも今のうちだっ!

「おはようございます。
凛先生は作り笑顔がとっても上手ですね」

未有も部屋に入ったし、周りに子ど少ないことを確認しわざと大きな声で言ってみる。

「ははっ、何を突然。 どうしたんですか?流架くん」

それでもヤツは、笑顔を崩さないでいる。
そう簡単にウラは出さねぇか。

「その笑顔で何人の人が騙されてるんでしょうね」

おれも対抗して笑顔で更に追い討ちをかけてみる。

これでどーだ!?

あいつの反応をうかがっていると……。

「あら?どうしたの?」

「あ、百合子先生・・・」

騒ぎを聞きつけてやってきたのは、葛城百合子(かつらぎゆりこ)先生。

百合子先生は、この保育園の主任さんで、年は……結構いってそうだけど、優しそうな先生だ。

「凛先生が揉め事なんて珍しいわね。
でも他の保護者の方や子どももいるし、流架くん、話しなら事務室で聞きましょうか?」

さすがは主任の先生。 まとめるのがうまい……。
でも、ココで引き下がったら男がスタる!
そう思っておれは百合子先生と向かい合い、思い切って話してみた。

「先生! 綾瀬先生は変態なんです!」

「はあ!?」

突然のおれの“綾瀬凛変態発言”に百合子先生も目を丸くしていた。

「お、おれ見ちゃったんです。
この人が男の人を襲っているのを!」

……おれも襲われたことは言わないでおこう。

あいつがいる前でおれはあの時に見たまんまを話した。

話したのに……!

「やだ、流架くん!何を言うかと思ったら。そんなことあるわけないじゃない!
ねぇ、凛先生?」

へ……?
ハナから否定ですか?

百合子先生は、爆笑と言っていいほど笑い、目にはうっすらと涙が。

そして指で涙を拭いながら、あいつに確認をする。

……そんなに笑わなくても。

つーか、本人に聞いても仕方ないのでは……?