「ふっ。かわいいな、お前」

「な……!?」

なにを言ってるんだこの人は!!
今までの会話でどこをどうしたらそういう結論に達するっつーんだっ!?

「か、かわいいって言うなよ!」

「そうやってムキになるところがますますソソられる」

誰もあんたをソソらせた覚えはねぇ!!

「もう帰れ!
二度とおれの前に現れるな!!」

そう意気込んでヤツを睨みつけるものの、ヤツはまったく動じない。

しかも、

「そいつは無理な話だな。
なにせ俺はお前の妹の担任なんだから」

くぅぅぅ~!
ああ言えば、こう言う~!
こンの、ヘリクツ男めぇえぇ!

「うるっせぇ!
いいから帰れ!エセ保育士~!!」

おれは近所迷惑になるくらい、腹の底から思いっきり叫んだ。

「はいはい。
今日のところはこれでカンベンしてやるよ」

それでもヤツは冷静なまま・・・。

くそうっ。大人の余裕ってヤツか!?

「じゃあまたな、流架」

「勝手に呼び捨てにしてンじゃねぇーっ!」

おれの叫びを背中に浴びながら、ヤツはひらりと手を振り去っていった。

そしておれも憤りを感じながら、家の中に入った。

なんだ?
なんなんだ!?
凛先生があんなヤツだったなんて……!!

もう憧れも、人気もなにもねぇ!!

なにがやさしいだ!
なにがカッコイイだ!
あンの二重人格男!!
最低だあんなヤツ!!

男のおれにキスした上に、あんなことまで~!
ぜってぇ許さねぇぇえぇっ!

ちょっとでもときめいたおれがバカだった!!
もう二度と騙されねぇぞ!

それで、ぜってぇヤツの正体(?)をみんなの前で暴露させてやる!

密かな決意を胸におれは、濡れた下着を替えるため、そのまま自分の部屋に行き着替えを済ませてから、リビングで待っているであろう未有の元へ向かった。

そして、未有の口から出たセリフは……

「おにいちゃん、
おうちのまえでおおごえだしたらほかのひとのめいわくになるよ?」

はい。
反省します。

……さすがはマセ娘。