たしかに、先生にはあこがれてたけど……!

だからって、キスしたいと思ったことは断じてねぇっっ!!

しかもなんだ!?
このふてぶてしい態度はっ!!?

なんか……フツフツと怒りが湧いてきたっ!

「口止め料としてありがたくもらっとけ」

「は?
口止め料ってなんだよっ?!」

「お前、こないだの日曜のアレ、見てんだろ?」

日曜日のアレって……?

あ、アレのことか!?

じゃ、じゃあ……、やっぱりあの時見たのはこの人だったんだ!

話し方といい、態度といい……まさかこいつ……。

「あ、あんた……
二重人格・・・!?」

「失礼だな。俺は要領よく生きてるだけだ」

ひ、開き直ってやがる……!

「ということだから、日曜に見たことは他言無用だぞ」

こいつっ!いけしゃあしゃあと~っ!

なにが、

“ということだから”

だ!!

こんな口止め料嬉しくもなんともねぇ!!

男とキスなんて冗談じゃねぇ!

「大体、口止めするにしてもなんでキスなんだよ!?
おれは男だぞ!?」

「ああ、それはだな・・・」

そういって先生は少し開いていた距離を縮めるため俺ににじり寄ってきた。

反射的におれも後ずさる。

……と言ってもすぐ後ろはいつの間にか閉まっていたドアだから大して逃げられなかったけど。

「な、なんだよ……」

でかい人間に迫られると迫力が……!

「お前が気に入ったからだ」

「は?
なに言って・・・んっ」

最後まで言い終える前に再びおれは口唇をふさがれた。

「っふ……んん……っ」

さっきよりも深く、執拗に舌を絡め捕られる。


「ン……っふっ、ん・・・」

舌で歯列をなぞられ、時々強く吸われたりすると、頭がボーっとして、体の力が抜けてくる。

おれ……、一体どうしちゃったんだ……?