「それじゃあ私たちは失礼しますね」


そう言って、お母さんたちは入ってきた時と同様に団体さんみんなで帰っていった。

ふぅ、なんかどっと疲れたような気がする。


「園長、今回は本当にありがとうございました。でも申し訳ありません、僕たちこれで失礼させていただいてもよろしいでしょうか」

「ええ、どうぞ。五十嵐くんも呼び出してしまって申し訳なかったですね」

「いえっ、こちらこそご迷惑をおかけしてすみませんでした」


園長先生の丁寧な態度にこっちもかしこまってしまう。


「さ、流架くん行きますよ。
園長先生、失礼します」


おれもちゃんと頭を下げて御礼をしていたのに、凛に腕を掴まれて園長室から半ば無理やり引っ張り出されてしまった。


「ちょっ、凛……先生!?
なんで……」

「早く未有ちゃんを迎えに言ってあげてください。
僕はいつものところで待っていますから」


無言で歩く凛の背中に話しかけたけど、凛は前を向いたまま口早にそう言った。

なんだ?

なにを凛は怒っているんだ?


「あーっ、おにいちゃんっ」

「未有」

「どこいってたのー?」

「ごめんな、未有遅くなって。
帰ろうか」

「うんっ」


凛の怒っている理由は全く分からなかったけど、凛のいうように未有は早く迎えに行ってやらないとだもんな。

案の定未有は迎えを待ちわびていたらしく、おれが部屋に顔を出すとおれに飛びついてきた。


そのまま先生と挨拶を済ませて、凛の待っている門へと向かった。