す、すごい……。

園長先生、あっという間にあの頑固なおっさんを言いくるめてくれたよ。


そして、おっさんがいなくなると、室内はわっと、歓声が沸いた。


「よかったわぁ!凛先生と、流架くんが辞めちゃったらどうしようかと思ったわ!」

「凛先生も、流架くんも園長室に行っていたから何かと思って聞いていたら……」

「まさか、こんな事になっていたなんてねぇ~」


お母さんたちは、手を取り合いながら、女子高生のように騒いでいる。


そして……。


「園長先生、ありがとうございました!」


なぜか、おれたちが礼を言わなくちゃいけないのにお母さんたちが礼を……。

いけねっ、おれも礼を言わなくちゃ!


「あの、園長先生……、ありがとうございました」

おれはお母さんたちがお礼を言い終えたのを見計らって、園長先生にお礼を言う。


「いいえ、よかったわね、クビにならなくて」

「あ、はい……」


クビのところを強調されて、おれは思わず縮こまる。

でも、本当にクビにならなくてよかった!


「園長先生」


すると、隣に座っていた凛も延長に向き直り、まじめな声で話し出した。


「この度は、僕たちの不祥事で多大なるご迷惑をおかけした事、深くお詫びいたします」

「凛先生、いいのよ。頭を上げて」


ソファから立ち上がり、深々と頭を下げる凛に園長先生も頭上から声をかける。


「申し訳ありませんでした。お母様たちにもご迷惑をおかけいたしまして」

「い、いいのよっ、凛先生!!むしろ、先生がおやめになるほうが嫌ですもの!」

「そうそう!私たちはただ邪魔しにきたって言うか……」

「先生たちの危機を救いに来たのよねー」


危機……?

よくわかんないけど、とりあえず感謝だよな。