「……先週の日曜日、君はどこにいたかね?」

「へ?先週の日曜、ですか?」

突然問われた、おれのプライベート。

なんでそんなことを見ず知らずのおじさんに話さないとなんないんだ、と半ば憤りを感じながらも、問われたとおり、その日のことを思い出していく。

先週の日曜日、ってことは今日が水曜日だから3日前?

3日前っていうと、その日は未有と隣のおばさんが出かけてて、おれ1人しかいなくて、退屈にしてたんだよな。

そしたら、タイミングよく凛から電話があって、一緒に出かけたんだ。

近場だと、知っている人たちに出会いそうだから、知り合いのいなさそうな場所を狙って、ちょっと遠い場所まで買い物に行った日だ。


「えっと、確か渋谷まで買い物に出かけていました」


嘘をつくわけではないけど、なんとなく正直に答えないほうがいいような気がして、あやふやに答えてしまう。


「それは、誰と一緒だね?」

「誰と?」


おい、このおじさん、そんなことまで聞くのかよ!?

それ以前に、園長先生の前で堂々と、


『今、隣にいる凛先生です』


なんて答えられるわけねぇだろ!!

第一こういうのって、プライバシーの侵害っつーンじゃねぇの!?


「……そんなことまで答えないといけないんですか?」


相手が相手なだけに、迂闊なことを言えない。

だから、おれは誤魔化すように質問を質問で返した。


第一このおじさん、なんか上から目線でむかつくし。

するとおじさんは、一瞬眉を吊り上げてムッとした表情を作ったけど、すぐに冷静な顔
に戻り、


「いいから君は聞かれたとおり質問に答えればいい」


そう淡々と話した。