そう思っても園長先生や、いまだ正体不明のおじさんの前では罵ることも出来ずおれは口を閉ざした。

「ごほんっ!
そろそろ本題に入ってもよろしいですかな?」

すると、それまで何も話さなかった謎のおじさんがひとつ咳払いをして、神妙な顔つきで園長先生に問いかけた。

「あ、そうですね。 では……」

「?」

優しく微笑んでいた園長先生も、おじさんのその一言で真剣な表情になり、おれと凛を交互に見てきた。

「流架くん、こちらは理事の方で片岡先生とおっしゃるの」

「はぁ……」

と、園長先生は唐突に今まで不思議に思っていたおじさんの正体を明かした。

それに合わせて、おじさんもおれたちに向かって軽く頭を下げたので、おれもつられて頭を下げる。

理事の先生……? って、よくわかんないけど……。

「それで……、片岡先生が先日、目に余るものを見たとおっしゃって、今日わざわざ園まで赴いてくださったの」

「目に余るもの……ですか?」

なんだよ、それ。

それが、おれに何の関係が?

「それが……」

先を促すようにおれが口を開くと、それから先、園長先生は言葉を濁し、ちらりとおじさんを見て、そのまま困っているように俯いてしまった。

「先生……?」

様子のおかしい園長先生を気遣い、言葉をかけると、園長の代わりに今度はおじさんが口を開いた。