「って、やべぇぞ流架っ!
こんなことしてる場合じゃねぇ。HR始まる!!」

「わっ、ほんとだ!!」

光輝の言葉に腕時計に目をやると、始業ギリギリ……。

「急げ――!!!!」

おれたちは全力疾走で、人目も先生の目も気にせず教室に向かって走っていった。


「あれれー?
二人揃ってHRギリギリなんて、なんかあったんですかー?」

猛ダッシュのおかげで、HRには間に合い、席に向かうと、そこで待ち構えていたのは、
ニヤニヤと笑っている大介……。

「あ!
もしかして、光輝さん告白しちゃってたりして……ぐはっ!!」

「……いっぺん地獄見てこい」

「……」

光輝は大介の鳩尾に拳を入れると、何事もなかったかのように自分の席に座った。

当然まともなパンチをくらった大介はその場にうずくまり、微かに涙が浮かべていた。


ったく、また墓穴掘って……。

自業自得ってやつ?


ちらりと光輝の方に目を向けると、いたずらを思い付いた子どものように楽しそうな顔をして笑っていた。


「ぷっ」


その表情におれも思わず吹き出してしまい、大介はというと、


「な、なんだよっ!なにがあったんだよー!?」

そんなおれたちのやりとりを見て、顔をしかめていた。

……


よかった。

この先光輝との関係がどうなっちゃうのかって心配だったけど、またこうやってバカやれてほんとよかった。


やっぱり虫がいい話かもしれないけど……。

光輝の気持ちには応えられないけど、でもずっと友達でいたいよな。