「ったく、いってぇなぁ。
……でも、よかった。流架に絶交言い渡されたら俺、生きていけねぇもん」

赤くなったおでこをさすりながら、光輝はそんなことを口にした。

「そんな大げさじゃねぇだろ」

別におれと絶交したからって生きていけるだろうよ。

「大げさじゃねぇって。俺ずっとお前のこと好きだったんだぞ?好きなヤツに嫌われたくはねぇだろ?」

あ、そうでした。

あの騒動で忘れてたけど、おれそういえば光輝に、こ……告白されてたんだった。

「あ、あのさ、光輝。そのことなんだけど……」

あんなことがあったから、返事をするのを忘れていた……というか告白されたことさえ忘れていたおれは、その返事を伝えるべく、口を開くが……。

「わかってるって。別にお前とどうこうなりたいって訳じゃないから」

「え?」

「そりゃ、初め聞いたときはすげぇショックだったからあんなことしちゃったけど……。
でも、あいつもお前のこと本気なんだってわかったし。好きなやつが幸せならいいってやつ?」

あいつって、凛のことか。

ニカッと笑って言った光輝の顔はすごくかっこよくて、男らしくて……。

その光輝の優しさにおれの目からは涙が溢れてきた。

「な!?流架!?
おまっ、何で泣いてんだよ!?やっぱ怒ってンのか!?」

突然泣き出したおれに、光輝は当然のように慌て出していた。

「ごめっ……光輝。
おれ、光輝のこと好きだ……ど、そ、ゆう好き……なくて……っ」

しゃくり上げているせいで、うまく喋れない。

「なんつ、か……友達として……っ」

「だからわかってるって!!
そんな改めて断言されると余計切なくなるだろっ」

「て……っ」

光輝は、おれのおでこをペチンと叩くと、小さく笑っておれの頭を撫でてくれた。

「別に、流架が気に病むことはねぇよ。おれが勝手に好きでいるんだからさ」

「光輝……」

「だから、この件に関してはもうお互い突っ込むの止めようぜ!
……って俺が言うなって感じだけど」

「うん……」

そう言った光輝の顔はいつもと変わらない優しくて、バカな光輝そのものだった。