再び深く頭を下げられ、おれは戸惑ってしまう。


確かに、突然押し倒されて、キスされて、それ以上のこともされて……。

すごくびっくりしたし、すごくショックだった。

でも、光輝はおれの大事な親友だから、こんなことでっつったら無神経かもしれないけど……。

おれたちの友情は壊したくないって思う。

それって、虫のいい話って思うけど、それがおれの本心だから……。


でも、ただで許すのはなんか癪だ!

「……おれ、すっごく傷ついた」

「うん……ごめん」

「すっごい怖かった」

「うん、反省してる……」

「世の中の男の泣かされる女の気持ちが分かった気がした」

「?うん?……」

おれの言葉に光輝はひとつひとつ謝ってくる。


今のは疑問系だったけど。


「光輝なんか嫌いだ!って思った」

「……うん。
……そうだよな。普通あんなことされたら嫌うよな……。それに、許してくれねぇよ
な……」

最後のおれの一言で打ちのめされた光輝は、明らかに落胆の表情を浮かべて肩を落としていた。


その光輝の姿があまりにも真剣だったから……、しかたない!

この辺で勘弁してやるか!


「今度あんなことしたらホントのホントに許さねぇからな!」

「って!!」

だからおれは、最後に一発きっつーいデコピンを食らわせて昨日のことは犬に噛まれた
と思って忘れることにしたんだ。