「ここだよ。
タオルとか引き出しに入ってるから、テキトーに使って」

脱衣所で、簡単に説明をし、そのままおれは退室しようとしたら……。

「待て」

「え?……っわ!!」

凛に腕をつかまれ、そのまま浴室へと突き飛ばされてしまった。

水気の帯びた浴室に尻餅をついたため、ズボンからは水がしみこんできて、気持ち悪い。

「ちょ……っ、なにすんだよ!?」

キッと、座り込んだまま凛をにらみつけると、凛は逆に見下ろすようにおれを睨み、

「……取調べだ」

と、一言言うと、凛も浴室へと足を伸ばした。

「と、取り調べって、何言ってんだよ!?」

「流架、お前おれが怒っていないとでも思っているのか?」

「・・・・・・」

そうか、そうだよな。
おれ、未遂とはいえ光輝に……。


って、ちがーう!!

「だっ、だからって、なんで風呂場に放り込むんだよ!?」

取調べをするにしても、風呂場に来る必要はまったくない。

おれは、じりじりとにじり寄ってくる凛から遠ざかるように後ずさりながら、声を荒げた。


しかし、ここは狭い浴室。

すぐに背中がタイルとぶつかり、行き止まりとなってしまった。

「取調べと同時に、お前の体をキレイに洗い流してやる」

「え!?あ・・・…っ、やっ!」

凛はおれの体をまたぐと、おれの着ていたシャツを脱がせ、手首のあたりに絡ませるとその上から自分のベルトで両腕を縛り上げてきた。

「な、にすんだよっ!これ外せよっ!!」

「言ったはずだ。あいつとはあまり関わらないように、と。
なのに、あんなことが起きるというのはどういうことだ? お前に隙があったんじゃないのか?」

手首の拘束を解こうともがいてみても、しっかりと固定されているため、一向に解けない。

その間に、凛はズボンと下着をもおれの両足から引き抜いてしまい、おれは何も身に着けていない生まれたままの姿となってしまった。