「お、にいちゃん……」

「未有!?
お前、起きてたのか?それに、なんで泣いて?」

「彼女が教えてくれたんですよ」

未有の前ということもあって、凛の話し方が敬語へと変わる。

ホンット、完璧主義っつーか、抜かりがないよなぁ。

おれは感心しながらも未有に駆け寄り、様子を確かめるように顔を覗き込むと、
未有はしゃくりあげながら、そのときのことを教えてくれた。

「おっきなこえがきこえたから……っ、
めがさめたの……」

どんどん溢れてくる涙を小さな手の甲で拭いながら、
一生懸命話してくれる。

「それで、のぞいてみたらおにいちゃんがないてて……。
だから、いそいでおにいちゃんのでんわで、りんせんせいにおしえたんだよ」

「未有……」

そっか。
さっき、未有を寝かせた時に携帯を落としてたんだ。

おれの携帯、なんだかんだ未有の遊び道具になっちゃってるから、使い方も分かってるし。

それで慌てて助けを呼んでくれたんだ……。

よかった……。
遊ばせといて。

「みゆ、びっくりしたんだよ?
おにいちゃん、いっぱいないてるんだもん……」

「ありがとう、未有。
おかげで助かったよ」

いまだ涙を流す未有を抱きしめながらお礼を言うと、
今度は心配そうにおれを見上げ、小さな手で俺の両頬を、包んできた。

「おにいちゃん、もうだいじょうぶ?
どこもいたくない?」

「もう大丈夫だよ、どこも痛くないから。
心配かけてごめんな、未有」

「……えへへ」

すると、未有はようやく笑顔を見せて、おれにしがみついてきた。


あれ、待てよ?

つーことは、おれが襲われているところをバッチリ見られたってこと?


は、恥ずかしい・・・・・・。