「……なんで?」



凜のその態度に光輝も負けずに応戦。



二人の間に火花が散る……ように見える。



ちょっとちょっと!!



喧嘩するなら、この状態をどうにかして下さい!!




おれは未だ下半身を剥き出しにされたまま、光輝に膝を抱えられた状態で、
切実に願った。



そんなおれの思いには気付かず、依然二人は睨み合いを続ける。


「……そうか。
退く気がないなら、力ずくで離すまでだ」



しばらくの沈黙の後、凜が先に動いた。



光輝の肩を片手で掴み、そのまま無理矢理おれから引きはがすと、
光輝の胸倉に掴みかかった。



その隙に、おれはソファーから飛び降り、はだけた衣服を整えた。



そして、服を着終えてからふたりを見ると、
互いに胸倉をつかみ合いながら、再び睨み合っていた。



「ちょ、ちょっと! お前ら……」



ふたりを制止しようにも、こいつらの気迫が怖くて、あまり近づけない。



「けっ、いいのかよ?やさし~い保育士様でいなくて」



相手の胸ぐらを、掴み、掴まれながら、沈黙を先に破ったのは光輝だった。


光輝は挑発するように、凛に問いかける。



「生憎だったな。
お前みたいな餓鬼に見せる裏の顔は持ち合わせてねぇんだ。

そんなことより、お前、よくも俺の流架に手を出してくれたな?」


「誰があんたの流架だよ?」


「俺に決まっているだろう?こいつは誰にも渡さない」


顔から火が出そうな恥ずかしいセリフといとも簡単に言ってのける凛に、
脱力しそうになるもその間も2人の口論は止まず、睨み合いを続けていた。