「…とりあえず、街にでも行こうかな。」
考えに考えた末、外に出ることにした。
いつも持ち歩いていた鞄の中から化粧ポーチを取り出して、化粧をし始める。
高校に入って始めた化粧。最初はなかなか慣れず、歪みまくりだったアイラインも今となっては一直線に引ける。
いつからか瞼上のラインは太く濃くなっていった。
化粧を繰り返す度、薄くては物足りなさを感じてまた濃いラインを引くようになる。
東京ではあたりまえのこの化粧も、ここの人たちにはきっとありえないんだろうな、って想った。
「今日も、戦闘モードですね」
そう鏡の中にいる自分に笑いかけてみた。
あたしにとって化粧は偽造や自己暗示だと想う。
自分を造って、偽って。
真っ黒で濃いラインを引くことによって自分を強く見せたり、
周りを自分に関わらせようとしない。
お洒落や、流行でする人もいるけど
あたしの場合こっちの考え。
今日もキツクきつくラインを引いた。
自分も強くなれた気がして、独りでも大丈夫だって思える。
だってこうすれば泣くことだってできないから。
それと他人と無駄に関わりたくない。
きつい子だと、一歩引いてくれればいい。
だって、なんだか、疲れるから。
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