「煙草なんてやめろ。女が吸うもんちゃう」
「は?え、やだ!」


急に男はあたしから煙草を奪い取って、なんの迷いもなく地に落とした。


そしてそれは彼の靴によって火を失う。田舎なんて自販遠くて買いにいくの大変なのに。


ただ呆然と立ち竦んだあたしを他所に、いきなり男はあたしのキャリーバックを奪って歩き出した。



「ちょっと!あんたまさか置き引き現行犯!?」
「何言ってんねん。お前迎えに来たん」
「…誘拐犯?」
「お前なんか誘拐するヤツおんのか?」



た、確かに。考えてみても、それはありえないと想った。
てゆーかコイツ初対面なのに「そんな変わりもん居たら怖いわ」って小声で言ったよ。



…何、こいつ……嫌い。