ムクリ、と皇太子が起き上がる


リリアは少しビクリと肩が震えた



「おまえ、名は?」


ジッ、と調った顔立ちで皇太子はリリアの顔を見て言った


その表情は、怒っているわけでもなく、何の感情も感じとられなかった



「リリア。」


リリアは呟くように小さな声で言った


「そう、リリア。
おまえが聖アグリル祭の生贄か。」


皇太子は、口元を緩ませる


「ならば俺様が何をしようと、口出しなどできないはずだ。」


「え?」


「リリア。
俺様の嫁になれ。」