あたしはせめて身体を起こそうとしたけれど、千秋が唇の前で人差し指をたてて、合図してきた。
な、ななななな……。
動くなって言いたいわけ……?
この状況でなんてヤツなのぉ!
あたしはノコノコとやって来た自分自身が悪いのに、こんなに心臓に悪いことはないと心底思った。
ううっ――。
あたし、もぉダメ……。
スタスタ……って、上履きの音が聞こえる。
ソレは、確実にこっちに近づいてきている。
チャプン……って音が、足音と一緒に聞こえた。
コレ、水の音……?
シルエットが見えて、カーテンの向こうで人影が揺れた。
その瞬間――。
シャアアってカーテンが開いた。
うっ、嘘……。
カーテンを開かれたと同時に現れた人物に、心臓が止まるかと思うほどあたしは驚いてしまった。
「先輩、みーつけたっ」
美結ちゃん……。


