「今すぐ、椎菜を抱きたい」
ストレートな言葉を囁いてきた。
そんなこと言われても困るよぉ。
あたしは千秋とキスをするだけで、心臓が弾けちゃいそうなくらいドキドキしてるんだよ……。
コレがお姉ちゃんが言っていた、“男の気持ち”なの?
意味わかんないよ。
「……からかわないで」
恥ずかしくて千秋を突っぱねた。
だけど……。
「大真面目だ」
微かに眉をしかめて、低い声でそう言った千秋は真っ直ぐにあたしを見据えてきた。
真剣な眼差しに心が揺れる……。
ブラウンの瞳に縛られたみたいに、あたしは固まって身動き一つ出来ずにシーツを握りこんだ。
「あ、あたしね……まだ……」
上手く言えない……。
何か言わなくちゃって思って、あたしは必死に言葉を並べる……。
その時。
――ガラガラッ
保健室の扉が開く音がした。


