シュルっと布擦れの音をたてて、千秋はあたしのネクタイをほどくと、ベッドから滑り落とす。
襟元が少し軽くなる。
ここまでは視聴覚室で会った時と同じで、あたしは流れるような仕草を見つめているだけだった。
「限界……って……?」
ドクドクうるさくなる心臓。
あたしはソレが千秋に聞こえてるんじゃないかって思って、動揺を隠すように小さい声で尋ねる。
「目の前にご馳走があるってのに“オアズケ”される気分?」
千秋は顔を傾けてちょっとイタズラっぽい口調で言う。
はぁあああああ……?
なによ、それ。
てゆーか、ご馳走って……。
「意味、教えてやろうか?」
「へ……?」


