「それとも、お前はオレしか見えてねぇの?」
からかうようにクスっと笑う。
その笑顔は女の子の心をギュッとわしづかみにするんだろうけど、今のあたしには心臓に悪い。
「か……勘違いしないでよね」
ああ、また可愛くないこと言っちゃう……。
だけど“うん”なんて言えるほど、あたしは素直になれないよ。
「素直になれよ?オレしか見えてねぇクセに」
「なに言って……」
反論しようとしたのに。
千秋の唇があたしの唇を塞いだ。
こうやってまた千秋はあたしの気持ちを揺さぶってくるんだ……。
体温が上昇してドキドキする。
触れて、少し離れて。
また触れてくる……。
チュッ……ってわざと音をたてながら、千秋はあたしの唇に何度も優しいキスを落としてくる。


